「恐怖旅館」 エピソード3
「わかった。オレが変なんか?お前たちが変なんか?もう、どっちでもいいわ。
とりあえず、オレは、自分の部屋に行く。オマエたちな、言うとくけどな。
何があっても自分たちで解決せえよ。夜中に、慌ててオレの部屋を叩いても、
オレは、一切反応せんぞ。もう疲れた。寝るわ。いいか?オレんとこには来るなよ」
「あ、珍しい。怒るところ初めて見ちゃった・・・。」
「いや、怒ってない。オレだけに見えたんやから、オレがおかしいんかもしれん。オマエは、どうする?石川優子(仮名)?」
「そうねぇ。確かに疲れたかも・・・。私も部屋に行こうかな。あ、でも、やっぱり、この旅館不気味だし、一回、荷物を置いてから、直ぐに、ここに戻る。」
「なーんば、心配しよっとか?石川優子(仮名)。おいが守るて言うたろうが。
心配すんなって。(胸を叩きながら)どーんとここに飛び込んで来んかい!」
「そうよね。たのもしい!!のもっちゃん!!」
私と石川優子(仮名)は、部屋を出ました。歩く度に、廊下の板がギシギシと音を立てます。
本当に気味が悪い・・・。私が、幽霊だけはダメだとお伝えしたのには理由があったのです。
見えてしまうのです。
この湿気・・・。意味なく、友人たちが明るく振る舞って見えるとき・・・。
まさに、今日のような日です。
こんな時は、例え、金縛りに遭おうとも、さっさと寝てしまうに限るのです。
「じゃあな、石川優子(仮名)。おやすみ」
そして、自分の部屋のドアの前に立った時でした。
まるで、私がそこに来るのを見計らっていたように、
そのドアから、まん丸い頭をした黒い影が、私に覆い被さって来たのです。
「ぅがぁぁーー!!」
「ギャー!!!」
私の声に驚いた石川優子(仮名)の悲鳴に、また私が驚き、その驚いた私の声に驚いた石川優子(仮名)が発狂し、その発狂した声に私が叫び、私の叫んだ声に石川優子(仮名)が、泣き叫び、泣き叫んだ石川優子(仮名)の顔が、もう石川優子(仮名)には見えなくなり、その顔が怖すぎて、私は気絶してしまいました・・・。
「おい!!しっかりせい!!」
遠くの声がだんだんと近づき、気がついた時には、円広志(仮名)、野元英俊(仮名)の2人が、私の顔を覗き込んでました。石川優子は、まだ気絶していました。
「どうした!!??」
「ど、ドア・・・ドアから丸い頭の黒い影が・・・」
もう、そう答えることしかできませんでした。
「や、やばいぞ¡!!この旅館!!」
「知ってるわ。旅館の娘さんから聞いとるし。」
「お、お前たち、こ、怖くないんか!!??」
「やから、朝まで騒ごう、言うてるやんか」
「わ、分かった・・・。オレも荷物置いたら、直ぐに戻る」
情けない話ですが、腰が抜けてしまっていましたので、ふたりに抱えられて、やっと立てたのです。
その時でした。今度は、ドアから3つの影が襲ってきたのです。
しっかりと影の形を確認しました。
「ぎえーーー!!!!!」
視界が、ドアから天井に、回るように動いていったのだけを覚えていました・・・。
「おい!!起きろ!!」
また、遠くから、呼び戻されました・・・。
「どげんしたん?」
「なんや、その声で。こっちが驚いてまうわ!!」
「こ、今度は、く、黒い・・。み、三つの、か、影が!!」
私の、あまりデカい声で、石川優子(仮名)も、正気を取り戻し、私の顔を、三人で覗き込んでました・・・。
「デ、デタ、でた、出た・・・」
もう、私は、まったく一人では立てない状態でしたので、三人に抱えられ、
足が床に着いてないのも分かったほどでした。
見える者にしか見えないのでしょう・・・。
これは、経験者にしかわかりません。
おそらく、霊たちが「この部屋には入るな」と、警告をしてきたのだと思います。
この部屋には三人の地縛霊が居ます。
これは、説明しても理解して貰えないでしょう。
「大丈夫?一人で立てる?」
「た、立てません・・・。石川優子(仮名)・・・。」
もう、三人に抱えられた自分は、この自分の肩より、頭が低くなっているのが分かりました。
その時でした。また、襲って来たのです。
「ぐあぁぁぁーーーー!!!!!」
「おい!!起きろ!!」
パチン!パチン!!
誰かが、私の頬を叩いたのがわかりました。一発ずつ、傷みが増して、我に戻ったとき、自分が気絶したことが分かりました。最後の光景は、三つの物体の真ん中に、子供の背丈ほどの丸い影が左斜めに傾きながら、消えて行ったのを覚えていました。
「さ、三人やない!!この部屋には子供が混じっとる!!真ん中に居った!!
か、影が固まりになっとった!!!」
「おい!よう見や!!ドア!!ほら!ドア!!!」
「な、何?」
「影やんか!!」
「み、見えたんか!!??」
「だから、見いや!!」
「ぐえぇぇぇぇーーー!!」
「気絶やめや!!」
寸前のところで、気絶を免れました。
「ほら、何でか知らんが、このドアだけ、プラスティックパネルになっとるやろ?オレたちの影やないか・・・」
よりによってでした。薄暗い、裸電球の廊下では、自分の影が黒い物体に見えてしまったのでした・・・。
お恥ずかしい話なのですが、このような具合で、過去にも、何度も気絶を繰り返してきました・・・。
「しっかり、せんばよ」
「わ、分かった、野元英俊(仮名)」
「はい!部屋に入って、荷物を置いて、はよ、戻りいな」
「わ、分かった、円広志(仮名)」
「もう,脅かさないでよ!!その声で、私が驚くじゃない!!」
「そ、そだね・・・。石川優子(仮名)」
参りました・・・。完全に、私が異常な怖がりであることが、バレてしまいました。
しかし、直ぐに感じたことがあったのです。
その部屋のドアを開けたときに、
湿った生温い風が漂っていたのです。
この真夏の石垣島・・・。
こんな旅館でも、どこにも冷房は設備されていますので、
効き過ぎた冷房により、部屋はカラリとしているはずなのです。
「な、なんだ?この湿気は・・・」
窓が開いていました・・・。
全開でした・・・・。
しかし、耳元では、何かが鳴っています。そのうち、部屋中が鳴り出しました。
「ええっ!!??」
「蚊」
でした・・・。
慌てて窓を閉め、クーラーのスイッチを入れ、部屋に置いてあった蚊取り線香に火をつけ、ベッドに腰を下ろした視線に飛び込んできたのは、日本人形でした。
おかっぱ頭の人形・・・。
じっと、私を、見つめています。
「これ、動くやろ!?」
「絶対に、あったらいかんやつやろ!?」
「これ、髪が伸びる『お菊人形』やないか・・・」
ヘビに睨まれるとカエルは動けなくなると言います。
私は、人形に見つめられ、もう目が離せない状態にされてしまいました・・・。
そして、ついにあってはならないことが起こってしまったのです。
その人形の微笑みが・・・、
その人形の微笑みが・・・、苦しみの表情に変わり・・・
その人形の微笑みが・・・、苦しみの表情に変わり、、突然・・・。
と、突然、首がコロリと床に音を立てて落ちたのです。
つづく・・・
「恐怖旅館」 エピソード3
エピソード4 公開日。未決定。
ASKA(2018/4/28 23:39)
とりあえず、オレは、自分の部屋に行く。オマエたちな、言うとくけどな。
何があっても自分たちで解決せえよ。夜中に、慌ててオレの部屋を叩いても、
オレは、一切反応せんぞ。もう疲れた。寝るわ。いいか?オレんとこには来るなよ」
「あ、珍しい。怒るところ初めて見ちゃった・・・。」
「いや、怒ってない。オレだけに見えたんやから、オレがおかしいんかもしれん。オマエは、どうする?石川優子(仮名)?」
「そうねぇ。確かに疲れたかも・・・。私も部屋に行こうかな。あ、でも、やっぱり、この旅館不気味だし、一回、荷物を置いてから、直ぐに、ここに戻る。」
「なーんば、心配しよっとか?石川優子(仮名)。おいが守るて言うたろうが。
心配すんなって。(胸を叩きながら)どーんとここに飛び込んで来んかい!」
「そうよね。たのもしい!!のもっちゃん!!」
私と石川優子(仮名)は、部屋を出ました。歩く度に、廊下の板がギシギシと音を立てます。
本当に気味が悪い・・・。私が、幽霊だけはダメだとお伝えしたのには理由があったのです。
見えてしまうのです。
この湿気・・・。意味なく、友人たちが明るく振る舞って見えるとき・・・。
まさに、今日のような日です。
こんな時は、例え、金縛りに遭おうとも、さっさと寝てしまうに限るのです。
「じゃあな、石川優子(仮名)。おやすみ」
そして、自分の部屋のドアの前に立った時でした。
まるで、私がそこに来るのを見計らっていたように、
そのドアから、まん丸い頭をした黒い影が、私に覆い被さって来たのです。
「ぅがぁぁーー!!」
「ギャー!!!」
私の声に驚いた石川優子(仮名)の悲鳴に、また私が驚き、その驚いた私の声に驚いた石川優子(仮名)が発狂し、その発狂した声に私が叫び、私の叫んだ声に石川優子(仮名)が、泣き叫び、泣き叫んだ石川優子(仮名)の顔が、もう石川優子(仮名)には見えなくなり、その顔が怖すぎて、私は気絶してしまいました・・・。
「おい!!しっかりせい!!」
遠くの声がだんだんと近づき、気がついた時には、円広志(仮名)、野元英俊(仮名)の2人が、私の顔を覗き込んでました。石川優子は、まだ気絶していました。
「どうした!!??」
「ど、ドア・・・ドアから丸い頭の黒い影が・・・」
もう、そう答えることしかできませんでした。
「や、やばいぞ¡!!この旅館!!」
「知ってるわ。旅館の娘さんから聞いとるし。」
「お、お前たち、こ、怖くないんか!!??」
「やから、朝まで騒ごう、言うてるやんか」
「わ、分かった・・・。オレも荷物置いたら、直ぐに戻る」
情けない話ですが、腰が抜けてしまっていましたので、ふたりに抱えられて、やっと立てたのです。
その時でした。今度は、ドアから3つの影が襲ってきたのです。
しっかりと影の形を確認しました。
「ぎえーーー!!!!!」
視界が、ドアから天井に、回るように動いていったのだけを覚えていました・・・。
「おい!!起きろ!!」
また、遠くから、呼び戻されました・・・。
「どげんしたん?」
「なんや、その声で。こっちが驚いてまうわ!!」
「こ、今度は、く、黒い・・。み、三つの、か、影が!!」
私の、あまりデカい声で、石川優子(仮名)も、正気を取り戻し、私の顔を、三人で覗き込んでました・・・。
「デ、デタ、でた、出た・・・」
もう、私は、まったく一人では立てない状態でしたので、三人に抱えられ、
足が床に着いてないのも分かったほどでした。
見える者にしか見えないのでしょう・・・。
これは、経験者にしかわかりません。
おそらく、霊たちが「この部屋には入るな」と、警告をしてきたのだと思います。
この部屋には三人の地縛霊が居ます。
これは、説明しても理解して貰えないでしょう。
「大丈夫?一人で立てる?」
「た、立てません・・・。石川優子(仮名)・・・。」
もう、三人に抱えられた自分は、この自分の肩より、頭が低くなっているのが分かりました。
その時でした。また、襲って来たのです。
「ぐあぁぁぁーーーー!!!!!」
「おい!!起きろ!!」
パチン!パチン!!
誰かが、私の頬を叩いたのがわかりました。一発ずつ、傷みが増して、我に戻ったとき、自分が気絶したことが分かりました。最後の光景は、三つの物体の真ん中に、子供の背丈ほどの丸い影が左斜めに傾きながら、消えて行ったのを覚えていました。
「さ、三人やない!!この部屋には子供が混じっとる!!真ん中に居った!!
か、影が固まりになっとった!!!」
「おい!よう見や!!ドア!!ほら!ドア!!!」
「な、何?」
「影やんか!!」
「み、見えたんか!!??」
「だから、見いや!!」
「ぐえぇぇぇぇーーー!!」
「気絶やめや!!」
寸前のところで、気絶を免れました。
「ほら、何でか知らんが、このドアだけ、プラスティックパネルになっとるやろ?オレたちの影やないか・・・」
よりによってでした。薄暗い、裸電球の廊下では、自分の影が黒い物体に見えてしまったのでした・・・。
お恥ずかしい話なのですが、このような具合で、過去にも、何度も気絶を繰り返してきました・・・。
「しっかり、せんばよ」
「わ、分かった、野元英俊(仮名)」
「はい!部屋に入って、荷物を置いて、はよ、戻りいな」
「わ、分かった、円広志(仮名)」
「もう,脅かさないでよ!!その声で、私が驚くじゃない!!」
「そ、そだね・・・。石川優子(仮名)」
参りました・・・。完全に、私が異常な怖がりであることが、バレてしまいました。
しかし、直ぐに感じたことがあったのです。
その部屋のドアを開けたときに、
湿った生温い風が漂っていたのです。
この真夏の石垣島・・・。
こんな旅館でも、どこにも冷房は設備されていますので、
効き過ぎた冷房により、部屋はカラリとしているはずなのです。
「な、なんだ?この湿気は・・・」
窓が開いていました・・・。
全開でした・・・・。
しかし、耳元では、何かが鳴っています。そのうち、部屋中が鳴り出しました。
「ええっ!!??」
「蚊」
でした・・・。
慌てて窓を閉め、クーラーのスイッチを入れ、部屋に置いてあった蚊取り線香に火をつけ、ベッドに腰を下ろした視線に飛び込んできたのは、日本人形でした。
おかっぱ頭の人形・・・。
じっと、私を、見つめています。
「これ、動くやろ!?」
「絶対に、あったらいかんやつやろ!?」
「これ、髪が伸びる『お菊人形』やないか・・・」
ヘビに睨まれるとカエルは動けなくなると言います。
私は、人形に見つめられ、もう目が離せない状態にされてしまいました・・・。
そして、ついにあってはならないことが起こってしまったのです。
その人形の微笑みが・・・、
その人形の微笑みが・・・、苦しみの表情に変わり・・・
その人形の微笑みが・・・、苦しみの表情に変わり、、突然・・・。
と、突然、首がコロリと床に音を立てて落ちたのです。
つづく・・・
「恐怖旅館」 エピソード3
エピソード4 公開日。未決定。
ASKA(2018/4/28 23:39)
COMMENT
「恐怖旅館」 エピソード3のコメント
-
ニックネーム:PEACE申し訳ありません、爆笑したり恐怖したり、続きが気になって気になって😅
-
ニックネーム:momo1.2.3とドキドキしながら読み進めてきましたが、怖さがどっかに飛んでいきました(笑)
怖いより面白い❗️
ASKAさんの文章は本当に引き込まれます‼️
続いてエピソード4行ってきます👋😃 -
ニックネーム:春美…ぱるごん♡恐怖過ぎて…きっと笑うところも笑えず…👻
すみません(ノдヽ)…💦💦
しかし、最終章できっとオチがあると
期待してしまいます😅 -
ニックネーム:ごんたASKAさん、私も物凄い怖がりなんで、エピソード3で十分です😭
昔住んでた社宅には一人いたらしく、しかも部屋を移動するとのことで、夜はドキドキしてました。
1階の方の話では、ある日お子さんが帰ってきた時に、出迎えた母親に向かって、「そこにいるおじちゃんだあれ?」と言って、母親はゾゾゾーっとしたとか。 -
ニックネーム:higurashi77エピソード4、楽しみにしてます!←不謹慎!笑笑 あんこーる!あんこーる!!
…ごめんなさい。この手の話結構好きです。。あと人を怖がらせるのも結構好きです。。笑 でも怖がらせたくて話してるんじゃなくて、本当の事話してるだけなんだけどなぁ。。だって人間も動物も魂があって、それがどこに行くかなんて死なないと誰にもわからないじゃないですか。だけど大切な人が側にいるって思う時があるじゃないですか。やっぱり魂ってあると思う。…他人だと怖いけどね💦でも生きてる人間が一番怖い☠️