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「恐怖旅館」 エピソード2

ようやく市内に着き、一台の公衆電話を見つけ、「104」で、石垣市内のホテルを探したのですが、
やはり、どこも満室でした。

「ダメだ、石川優子(仮名)!!」
「部屋、取れないの?」
「まったく、空いとらんわ・・・」
「どうしよう・・・この台風の中・・・」

運転手が振り向きました。

「ホテルは無理さ。旅館なら知ってるさ。」
「早う、言わんかい!!」
「そこでいいね?」
「よかよか。どこでもよか!そこに行って」

車は、一軒の空き家の前で停まりました。

「何?ここ」
「旅館だよ」
「はぁ!?ここが旅館?」
「民宿とも言うさ」
「わかったよ!ここでいい!!降りるぞ!石川優子(仮名)!!」

一日の陽が長い、南の石垣島でしたが、真っ黒な雲に覆われ、夕方なのに夜のようでした。

「ここ、怖くない?」
「しょうがないやんか?石川優子(仮名)」

その旅館の玄関は、開き戸でした。
磨りガラスの角は割れており、その割れたところを紙で作った花びらで、押さえてありました。

「すみませーん!」

その旅館の奥では、何やら大きな声で話している声がするのですが、私の声には反応がありません。
もう一度、怒鳴るように声を上げてみました。

「ごめんくださーい!!」」

その時でした。

「イヤーーーー!!!」

その旅館と言われる木造建築の薄暗い廊下から、響き渡るような声でした。

「ちょっと!今の女性の声よね?」
「そうやな」
「あれ、、悲鳴だったよ・・・。怖いよー。止めよう。この旅館・・・」
「ちょっと待て、石川優子(仮名)。オレたちには、行くところがないんやぞ!!」
「だって・・・『イヤー!』って、悲鳴が・・・」

その時でした・・・。

「ア、イヤー!!サ、イヤー!!」

まん丸に上げた髪の毛に、横から一本の串を刺し、三味線を弾きながら、

「ア、イヤー!!サ、イヤー!!」

と、一人の老婆が現れたのです・
      ↑
   ちょっと、まてぇ!!!

散々、ここまで我慢して話を聞いてきたが、そんなん、
   あるかーい!!ウソつけぇ!!!!

頭に串?あるかーい!!!
オマエ、沖縄の人に怒られんぞ!!
早く、謝っとけ!!!!

真っ赤な模様の琉球服を着ていました
三味線・・・。←ないない!!
私たちは、硬直してしまいました。

「どうしたさ?」

今、目の前で映っている現実を、どう、受け止めたらよいのか・・・。
私たちに与えられたことは、すべて受け入れることだけだったのです。

「台風で、飛行機が飛ばなくなり、泊まれるとことを探してました。
お部屋はあるでしょうか?」」
「知ってるよ。同じことを言ったお客さんが来たさ」

どこのホテルも満室です。やっとの思いで、ここにたどり着いた観光客がいたのでしょう。

「おふたりさん、部屋はいくつね?」
「二人ですから」
「そうね」
「一つ?二つ?三つ?よっ・・」
「二部屋です・・・。」
「お客さん、運いいね。丁度、ふたつだけ空いてるさ」

今、四つまで言いかけたじゃないか。ま、いい。とりあえず、何とか、一夜をしのぐところが見つかりました。

「これ、鍵さ。右に回しても、左に回しても、刺さなくても開くさ」
「それって、壊れてるということでしょう?」
「壊れてないよ。石垣島では鍵というお守りさ」←絶対、謝れ!!
「はい?」
「この廊下の右側。突き当たりの部屋。向かい同士さ。石垣の夜を想い出にしてほしいさ。では、ゆっくりね」

「ア、イヤー!!ー!!サ、イヤー!!」


老婆は、また、三味線をかき鳴らしながら、消えていきました。
          ↑
      オマエ、絶対、訴えられる
     石垣島観光協会に通報するからな

「大丈夫かなぁ・・・?」
「しゃあないやん、石川優子(仮名)。泊まれるとことがあっただけ、喜ばんと」

私たちは、お守りと言われた鍵を握りしめ、廊下を進んできました。
すると、途中で聞き覚えのある声が、部屋から聞こえてきたのです。
丸聞こえでした。

「いいやん、こうなったら朝まで騒ごうやないか!!」
「おいが、追い払っちゃう!!」

間違いない。円広志と野元英俊の声でした。

ガチャ!!

「おう!!ふたりとも無事やったか?結局、ここしか空いとらへんやったろ?
ここ。出るらしいわ」
「言うな!!」

実は、私、初めてお話する事実があるのです。ダメなのです・・。
この世の中で幽霊ほど恐ろしいものはなく、目の前で、その手の話になると、例え、相手が初対面であろうと、殴ってでも話をさせません。子供の頃から、気だけは強いのですが、ダメなのです。幽霊だけは・・・。

「良かったぁ!みんなと一緒なら、怖くない!!」
「やめんかい!石川優子(仮名)!!」
「そんな、怒りいなや。今日は、この旅館、オレたちだけなんやから、騒ごうや」
「満室って聞いたぞ?」
「だいがや?」
「三味線を着た、イヤ違った。三味線を持ったここの女将に」
「女将?」

「おばあさんみたいな女将、おったやろ?」
「誰や?それ。ここは、20代の元OLさんが、仕事を辞めてのんびり生活しながら、ついでに旅館をやってはんねんぞ。なあ?野元英俊」
「そう、だいもおらんぞ。ひとりで暮らしてますって」
「ちょ、ちょっと待て!!女将から案内されたよな?石川優子(仮名)!!」
「え?綺麗な娘さんだったじゃない。鍵をくれた人でしょう?」
「やめんかい!!『怖い』って、言うたや無いか!!」
「誰が?」

一緒に見たはずなのです。鍵の説明も受けました。しかし、一緒に居た石川優子は、女将を見ていないと言い始めたのです。変です・・。みんな、何かにとり憑かれてます。


つづく・・・

「恐怖旅館」 エピソード3は、お客さんが帰った後です。
夜かもしれません。


ASKA(2018/4/28 13:13)

COMMENT

「恐怖旅館」 エピソード2のコメント

  • ニックネーム:がやちゃん
    フルネームのオンパレードが可笑しくて(笑)

    ASKAさん、ぶっちゃけ、幽霊と蜘蛛どっちが怖いですか⁇( ̄∇ ̄)
  • ニックネーム:春美…ぱるごん♡
    怖いです…

    ASKAさんも、相当ダメなようですね…
    今もですか??👻
  • ニックネーム:momo
    もうASKAさんの方言なのかなんなのかわからない言葉遣いが気になって怖いのかなんなのかわからなくなってます(笑)
    それと、三味線じゃなくて三線ですよね😁
    ドキドキしながらここに来てますが今では怖さも半減してます😆
    エピソード3に行ってきます🙌
  • ニックネーム:手のひらの黒子
    石川優子(仮名)さんに、軽くフラれたのが、おもしろいです・:*+.(( °ω° ))/.:+

    霊の声がきこえるという人が、新聞集金の方にいます。
    というか、私毎日、廃院したおじさんの居住地込みの医院に通っています。電気はつけず、緑色の非常灯だけが点いています。え?私のうしろですか.....?
  • ニックネーム:よしち
    おはよう👋😃☀ASKA💕
    夜に読むのは、怖くて・・・😅
    起きて直ぐに🎵

    やっぱ、天才👍👍👍
    ありがとう🎵ASKA💕続き待ってるね🎵