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思いがけない曲がリクエストされた。

「不思議の国」

これC&Aアルバム「21世紀」に収録された曲。

今なら、違う歌い方するだろうな。
この曲、キーは「D」なんです。
どうしても「D」である必要があった。

それは「ギターテクニック」
４弦が「D」の開放弦で、ベースになります。

この曲、イントロから作ったんです。
曲のイントロを作ってしまった以上、そのキーでメロディを作らなくてはならなくなってしまった(笑)

ギターの「笛吹 利明 （うすい としあき）」さんの家に遊びに行った。
笛吹さんは、楽曲「風舞」「熱風」「水面の精（インスト）」などのアレンジをしてくれたギタリストね。
僕が、デビュー当時、アコースティックギター「マーチン」の音色に掴まれたのは、その笛吹さんが出す音に惹かれたからでした。

すごく繊細な音に感じた。

笛吹さんに、このイントロを聴かせた。

「すごく良いじゃない。自分で考えたの？」
「はい」
「これ、メロディ完成させなよ。レコーディングは2人で弾こう」

曲を作った本人が言う事じゃないですが、この曲、当時の僕にもキーが高くて歌うのが一苦労。
シャウトすれば問題ないのだけれど、この楽曲はそういう曲じゃない。
優しく歌いたい。

この曲では、中域早々でミックスボイスを使っています。
なるべく、できるだけ声（喉）を絞るように。

ギターは笛吹さんと２人で同時に弾きました。
ダビング無しの１発勝負。
なので、笛吹さんに何度も初めから付き合わせたんだよなぁ。

この曲で、今でも失敗したなぁと思ってるところ。
エンディングの「口笛」
当時のプロデューサーから、

「下手に吹いてくれ」

と。
何だか、洋楽のアーティスト、言われても名前も覚えていない。
そのアーティストが、曲中で吹いたへたっぴな口笛に哀愁を感じたとのことで、わざと下手に吹いて欲しいと。

ほら、何度も言うように、プロデューサーとは絶対権限だから。
音を外して吹くのに、すごく時間がかかった(笑)

当時のリスナーたちから

「口笛は、お上手じゃないんですね」

と、いうような手紙を、ほんとたくさん「頂いた」ではなく「寄越された」

「ウガガっー！」

と、なった。

ということは、置いといて、この曲を演奏したのは２ツアーぐらいで、その後、一度も歌っていません。

今、口笛が上手く吹けなくなってしまったので、今なら、普通にへたっぴでしょう(笑)

くそー、あの時のレコーディングでは、ちゃんと吹いておくんだった。

リクエスト、ありがとう。


ASKA(2023/9/3 19:11)