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TOKYO FM「Terminal Melody」33回目放送〜ゲスト「谷口いづみ」さん

僕は、彼女を「いづみちゃん」と呼んでいます。

初めてお会いしたのは、
今は、もう無くなってしまった日比谷の「ビルボードカフェ」でした。

2019年夏過ぎ、
ビルボード主催による

「ASKA premium ensemble concert -higher ground- 」

の、決起集会というかパーティが行われたんですね。
終始、ニコニコされていて、

「あ、この人が集めてくれるメンバーとのツアーは楽しくなりそうだ」

そんな予感しかありませんでした。

そのパーティで快諾してくれたんですよね。

ピックアップマイクを弦楽器に付けること。
そして、パフォーマーとしての参加。

バイオリンって、きっと皆さんが想像するより高価な楽器なんです。
1台数千万ってのは、珍しくありません。

マイクを付けるとなれば、傷が付くこともある。

僕は、彼女たちを「ビルボー」と名付けました。
ビルボーは、僕らがリハーサルで、大方形になった頃、最終リハーサルの3日前の参加でした。
いや、2日前だっけ?
そこいら、あやふや・・・。

何を伝えたいかと言うと、
渡されたスコア(譜面)を、初見で難なく演奏してしまうこと。
僕には、今だに理解ができない。

演奏する部分の、常に先の小節を見ながら弾く。
これは理解できます。

国語の本読みをさせられるとき、スラスラを読むには確かにそうしますから。
英語もそうですよね。
文字を音読するときは、そうしなくては、ブツ切れになってしまいますから。

彼女たちクラシックの演奏家は、1小節、または2小節が、デザインとして見えるそうです。
練習の賜物でしょうが、目に飛び込んできた音符の並びを瞬時に脳にアクセスし
そしてデザイン化されたとおりに弾く・・・。

・・・。
わかりまテン・・・。

少し前と言っても30年くらい前かな。
弦の奏者に「アドリブ」を要求しても弾ける人が少なかった。
「スコア」があれば、初見で難なく弾いてしまうのに、
アドリブとなると固まってしまう人が多かったように記憶しています。

現在では、クラッシャーのように、
クラシック演奏者の方にも「コード」というものを理解されてる方が増えてきましたので、
「アドリブ対応OK!」となってきています。

以前にもお話ししましたように、彼女たちが並ぶだけで、
バンドのワイルドさに気品が加わるのです。

なんでだろう?
と、考えていたところに、僕なりの答えを見出しました。

「シンクロ」

でした。

弦を弾くとき、その弾く様のシンクロでした。
演奏での弦の上げ下げが全員シンクロしてるんです。
これが芸術に見える。

もちろんバンドメンバーも音楽理論をしっかり持っていますが、
パフォーマーとしての見せ方は、往々にしてワイルドです。
その後ろで、気品溢れまくりのビルボーが、女神のように見えてしまう。

ライブ中、時々振り返ってはデレデレになっていました←表現、チト違うんでないかい?

そんな彼女たちが「百花繚乱」では、気品とワイルドさをミックスして弾きまくる。
あれ、圧巻でしたね。

ツアーがコロナで中断し、昨年、
「僕のwonderful world」で、スタジオで再会。

「久しぶりー!会いたかったよー!!」
「本当にお会いしたかったです!!」

もう、腰砕けですよ。

これまで、もう数え切れないほど、レコーディングではストリングスを起用してきました。
僕らの耳も、サンプルのストリングスのピッチの確実性に慣れてきていますので、
ピッチには敏感になってきています。

彼女たちの演奏の素晴らしさは、その確実なピッチとリズム感なんですよね。
これはお世辞で言ってるわけではないんです。

澤近泰輔と、いつも話してるんです。

「ビルボーのような演奏家は珍しい」

と。

今年になって、すぐ、いづみちゃんに電話をしていたんです。
その時に、「アンコールツアー」にすることを画策していました。

「もちろんです。楽しみです」

スマホ握って腰砕け←本日、2回目、いただきましたー

1月からのツアー変更にも合わせてくれました。

本当に良かった。
ルックスで選んでおいて(^O^)

一時、この国は沈み返っていました。
だからこそ、あのとき。

「自分じゃないか」
「幸せの黄色い風船」
「僕のwonderful world」

を、書きました。

その3曲で、いちばん先に書いたのが、「僕のwonderful world」
続いて「幸せの黄色い風船」、そして最後に「自分じゃないか」でした。

リリース直前に、そのリリースの順番を変更しました。

1)「幸せの黄色い風船」
2)「自分じゃないか」
3)「僕のwonderful world」

この並びのリリースで正解だったと思います。
直前の「勘」は、大切にしたい。

この「勘」により、またリハーサルでは、メンバーに大変な思いをさせてしまうことになるでしょう。
それでも、最後には笑い合えてる。

これがバンド、そしてツアーの醍醐味です。
今回のツアーでのラスト曲は、あの曲か、あの曲か・・・。

今、決めかねてるのは、そこです。

でも、ツアーが始まれば、
全員で、笑い合ってるでしょう。


ASKA(2021/9/20 2:21)