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憧憬

憧憬






僕は迷っていた


もう少し待てば雨は小降りになるのか


それとも土砂降りになるのか




外は戦場のような雨が降っていた




6時限の体育のときだった


僕は雨が降ることに気がついたのだ


雨の匂いがしたからだ




それは土埃と混ざり合った


僕だけにしかわからない匂いだった




授業が終わる頃


校庭を覆うように雲が現れた


僕は傘を持っていなかった




学校から家までちょうど1000歩なのは知っていた


走れば700歩くらいになるのだろうか


僕は確信のない計算をしていた




だけどひとつ疑問があった


走るのと歩くのでは


どちらが濡れてしまうのだろうということだ




そんなことを思い出しながら


駐車場まで走った




車に乗ると


僕は持っていたカバンを助手席に放り投げ


ハンケチで服を拭いた


僕は安全を確保したかのような気持ちになり


ホッとため息をついた


雨はもう外の出来事のようになってる




エンジンをかけてワイパーのレバーを下げる


扇型に現れる視界の中を家まで帰った




あの日の答えはまだ出ていない




走るのと歩くのでは


どちらが濡れてしまうのだろう


COMMENT

憧憬のコメント

  • ニックネーム:moonandoceanhawaii
    歩くほうが 濡れてしまう。走るよりも長い時間 雨にさらされるから。
  • ニックネーム:yrinchu
    ♡♡
  • ニックネーム:愛にもそれぞれ形がある
    https://www.youtube.com/watch?v=4OqBAGjzNIs
  • ニックネーム:ukotan
    秋雨前線真っ只中で、傘が手放せない毎日…
    ふと『憧景』を思い出し、
    こちらへ戻ってきました。

    ASKAさんの雨の詩が好き…。
    また来ます。

  • ニックネーム:トロッコ列車
    askaさんへ

    ハンケチでちょっと笑ってしまいました(笑)