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再公演

「あれ?喉の奥がかゆい・・。」




2008年10月4日。深夜のできごとでした。軽い咳が出ます。経験上、このような時は危ないのです。喉の奥がかゆく、そしてやんわり温かくなってきた時は、要注意なのです。風邪です。明日は、シンフォニック福岡公演です。夜中に、飛び起きて長めのウガイをしました。




翌日、昼2時頃にマリンメッセに入り、リハーサルをしました。問題はありません。リハーサル後に、少し、身体が火照ってきましたので、直ぐに病院へ行き、点滴をしました。あくまで、身体の事故を未然に防ぐためです。点滴後も、いつもの状態で、その時が来るまでは、身体の調子のことなど、何も思い出さなかったのです。




本番になりました。1曲目、2曲目と進んで行きます。いつもと変わりません。


オーディエンスの温かい拍手が包んでくれます。オーケストラのみなさんも、喜びを感じて演奏してくれているのがわかります。それは、5曲目の時に起こりました。喉が熱くなってきたのです。暖まってきたという感じではありません。


熱いのです。その瞬間に思いました。




「マズい・・。」




そして、昨夜の風邪のことを思い出したのです。直ぐに喉に負担のかからない歌い方、すべてをミックスボイスに切り替えたのですが、もう時は遅しでした。


カスカスの声になってしまったのです。オーディエンスは敏感です。歌い手の動揺など、直ぐに見抜いてしまいます。このような時に、いつも思うことがあります。




「オレは、プロだ。」




良い響きで聴いてもらえないオーディエンスに申し訳ないと思いながら、ステージは進んでいきました。精神状態ですか?はい。正直に言いますと、何度もくじけそうになりました。しかし、僕はプロです。本編を終えて、ステージサイドに戻りました。高いお金を払って観に来て頂いているのに、このままでは、申し訳が立たない。




ステージサイドに戻ってから、この気持ちを、ステージプランナーの大久保に伝えようとしました。すると、大久保の方から、




ASKAさん、分かってます。いま、マリンメッセの空き状態を聞いてますから、アンコール、乗り切ってください。」




スタッフは、コンサート中盤で、そう判断し、もう、再公演のためのスケジュール調整をやっていてくれたのです。




「ありがとう。申し訳ない。」




何とか、アンコールを終えることができました。そして、最後に、オーディエンスに向かって、このようなことを言いました。




「今日は、喉の調子が悪く、こんなステージを観せてしまい、本当に申し訳ありません。みなさん、今日のチケットを、無くさず、持っていてくれませんか?


もう、一度、やり直しさせてください。」




その言葉を、オーディエンスは温かく迎えてくれました。そして、時間は流れましたが、マリンメッセとのスケジュールがつかないのです。年を跨いでは、意味がないと考えていたからです。年内中にやらせてもらいたいと、強く申し出ました。そして、やっと1日だけスケジュールが合いそうだという返事がきました。使用させてもらえそうな日が出てきたのです。11月23日。ホッと胸を撫で下ろしましたが、大きな問題にぶつかりました。そのシンフォニーコンサートは、地元の交響楽団と行ういという、特別なものでした。九州交響楽団です。11月23日は、すでにスケジュールが入っており、残念ながら、その日は無理だという回答がきたのです。




再公演は打ち出しておりますし、今更、やれないではすみません。再公演を見届けようとしてくださっているオーディエンスも少なくないはずです。そのくらいの、拍手、歓声を浴びましたから。しかし、交響楽団とのスケジュールが合わない。年明けなら、大丈夫だと言ってくださったのですが、年内でなければならないという気持ちに包まれていました。物理的な問題で板挟みになっていました。その時です。朗報が入って来ました。大阪でご一緒した「大阪シンフォニカー交響楽団」が、その日に、小倉に来ていると言うのです。小倉から福岡まで、新幹線で30分とかかりません。そしてその日は、偶々空き日だということが分かりました。事情を説明すると、




「喜んでやらせていただきます」




感謝しきれない気持ちになりました。駆けつけてくれました。先日の大阪公演で、すでに曲は覚えてくれていましたので、リハーサルは、重要な約束事のある箇所、フレーズを確かめ合う程度で終わりました。




再公演は、とても満足なステージとなりました。あの時、お付き合いしてくださったお客さん、そして大阪シンフォニカー交響楽団のみなさんに、心よりお礼を申し上げます。


ASKA


COMMENT

再公演のコメント

  • ニックネーム:shirin275
    幕張メッセに来てたのですね。
    行きたかったです( ˙-˙ )
    喉の調子が悪くなったASKAさんは辛かったですね。
  • ニックネーム:yrinchu
    ♡♡
  • ニックネーム:sorakaisei
    ASKAさん こんにちは!
    ここ数日、シンフォニックのDVDを観ながら出勤しています。
    思い出すだけで、胸が締めつけられるようななんとも言えない気持ちになります。
    いつだって、一曲一曲を丁寧に気持ちを込めて歌ってくださっていることは伝わってきました。
    プロなら当たり前なんていうことではなく…。
    魂が揺さぶられるような感覚。
    気持ちのこもった歌は、やはりすごい。
  • ニックネーム:Eve0224
    あの日は泣きながらASKAさんの歌声を聞きました。声が出ない中最後までやりきってくれて涙が止まらず…。
    心配で心配で帰りの空港にお見送りに行きました。
    私の影響で当時3歳だった娘もASKAさんが大好きで毎日チャゲアスのDVDを見てエンドロールでASKAが終わる〜と泣く娘。その娘が声が出なかったASKAさんに空港でのど飴を渡すとありがとう、と娘に言ってくれました。
    もちろん再公演も号泣しっぱなでした。
    あのとき3歳だった娘は来年中学生になります。
    今でもあの日のど飴を受け止ってくれたASKAさんの話を2人でします。2人でまた歌声が聴ける日を待っています!早く待たせたね〜って言ってくださいね♡♡♡
  • ニックネーム:MA
    今でも思い出します。
    その時初めてaskaさんのライブに行きました。声が調子悪そうだなって途中で気付きました。ハラハラというより、askaさんの気迫に圧倒されたのを覚えています。スゴイこの人はスゴイ、最後まで見届けようと思いました。終わった時スタンディングオベーションで皆さん拍手喝さいでしたねーまた絶対ライブ行きたいと思ったらaskaさんがもう一回やらせてって‥えっまじ?と思いました。それからは毎年のようにライブに参加させていきだきました。本当に幸せでした。今はただyoutubeみたりDVD、CD聴いたりです。生のASKAさんの歌がききたいです。askaさんは生じゃないと!!!
    薬って再犯率高いですよねー何度も捕まってる芸能人がたくさんいます。一人にならないでください。売人が寄ってくるんじゃないかと心配です。
    askaさんは絶対に薬やめてください。askaさんには沢山のファンがいます。それにご家族だってaskaさんを見捨てず頑張ってますよね。askaさんは一人じゃありませんから‥二度と薬に手を出さないでください。

    askaさんの歌声がききたいのです。