初ワンマンライブ
僕らCHAGE&ASKAは、アマチュアの頃から怖いもの知らずでした。活動をするということに関して、自分たちが感じる空気感、肌触りだけを信じて活動していたのです。裏を返せば情報に疎いということになります。周りのアマチュアアーティストが、どんな活動をしているのか、全く興味がなかったのです。ライブというものは、ホールで行うものだと思い込んでいました。そうではなかったのですね。どのアーティストも、50名ほどのお客さんの前で、パフォーマンスし、経験を積み重ね、実力をつけ、そして東京へ向かいました。そして、多くのアーティストが、夢破れ、福岡に戻って参りました。と、いう話さえ、デビューしてから知ったことなのです。
初めてのワンマンライブは、大学4年生の時に、福岡の「ももちパレス」で行いました。キャパ800人です。なぜ、そこを選んだか。 YAMAHAのポピュラーソングコンテストが、そこで行われていたからです。それだけです。もちろん他のホールもいくつかは知っていましたが、小さなところからコツコツと、いう考えがまったくなかったのです。僕は「ももちパレス」に直接交渉に行きました。パレスの方は、僕らのことを知っておられました。アマチュアながら、テレビ出演などをしていたからです。その方は、僕より少し年上ぐらいの方でした。
「コンサートをやりたいのですが、3ヶ月後ぐらいで会場が空いている日はありませんでしょうか?」
「空きはありますが、イベンターや企画会社はとおさないんですか?」
「どこも、知りません。」
「ここのキャパは800人ですよ。」
「ええ。知ってます。ポプコンに出場していますから。」
「CHAGE&ASKAさんは、まだ早いんじゃないですか?」
「そうかもしれませんが、もう決めましたので。」
「いやぁ、危険すぎるなぁ。」
アマチュアで、そこを使用するという前例がなかったのです。その担当の方は、やんわりと断って来ました。
「会場費、ミキシング、照明など、その他を含めて○○万円はかかりますよ。」
思ったよりも、高額でした。その時です。表情です。担当の方の表情に見覚えがあったのです。
「この人、どこかで会ったことがある・・。それも、近しい間柄だったはず・・。」
記憶の中のページを一気にめくりました。そして、ヒットするまでそんなに時間はかかりませんでした。
「あの、もしかして、大野北小学校出身ではないですか?」
「えっ!?そうですけど。」
「やっぱりー。お久しぶりです。お家は、学校の斜め前のアパートでしたよね?」
「何ですか?何で知ってるんですか?」
「一緒に、ドッチボールや野球してたんですよ。お家に遊びに行ったこともあります。」
「なーんだ、そうなんだ?」
両者、話し方は、一気に砕けました。友人のような話し方になったのです。
「ね、何とかならないかな?」
「お客さん、大丈夫?」
「やってみないと分からない。でも、600人ぐらいは入るんじゃないかと思う。」
「プロでも、600人は入らないよ。」
「自分で言うのも何だけど、もう中高生は僕らのことを知ってると思うんだ。」
「プロモーションとかチケット売りは?」
「告知ポスターと、手売り。」
「3ヶ月で?」
「3ヶ月も、6ヶ月も、(お客さんが)入らないときは、入らないから。」
「分かった。協力しよう!」
「経費も、トータルで安くしてくれない?」
「上と、交渉してみる。」
その頃、僕らを応援してくれていた中高生を、各学校からひとりずつ代表して集まってもらいました。CHAGE&ASKAデビュー時代に行った、決起集会の小規模なものです。ポスターやチケットが出来上がったのは、3週間後ぐらいでした。いよいよです。手売りが始まりました。ポスターは警察の目を逃れながら、真夜中、至る所に張りました。当時、僕らは7人で編成されたバンドでありましたので、7人が中心となり、各方面に飛び散りました。数日間おきに情報が入ってきます。今日は○○枚、○○枚と。中高生たちは頑張ってくれました。それまで味わったことのない高揚感で、毎日が充実しました。そして、ついに、ライブ3週間前に800枚のチケットが完売したのです。無いチケットには価値が生まれるもので、その後もチケットは売れました。当時、消防法も強くは規制されていませんでしたので、立ち見の分も用意しておいたのです。
ライブは1100人以上のオーディエンスに囲まれて大成功いたしました。
今は、情報にすべてを委ね、慎重に行動しますが、「何も知らない」ことの強さも経験しています。恐怖は、新しいことをやる前に必ず顔を出します。恐怖は、弱い心を見逃しません。つけいってきます。しかし、何も知らなければ、恐怖には見つかりません。
COMMENT
初ワンマンライブのコメント
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ニックネーム:karishimoASKAはASKA
だから同じスタート台なんですね
初心のまま輝き続けてください -
ニックネーム:hiro3sato4136ASKAさんこんばんは。
秋田は雪です。雪祭りで花火が上がっていて、雪空の花火はとても綺麗です。
知らないからこそ出来る事、とても分かります。
でも、知っていても、知らなくても、変わら無いでいられたらいいな。
ASKAさん、本もCDも楽しみに待ってますね٩(๑❛ᴗ❛๑)۶ -
ニックネーム:yrinchu♡♡
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ニックネーム:旅人ここにコメントした記憶があるけど。 その頃の意識といまのそれは、ずいぶんと変化しているなぁ。
最後の3行は、心強いですね。 こういうこと書く人...うーん、やっぱり好きだな(笑)。
ジェームス・アレン著の「原因と結果の法則②」をご存知か? 1907年に英国で発刊された古い時代の著書。
日本では2000年近辺に翻訳されたようだ。 内容的にはまさに宇宙の法則そのもの。 自分的には。
今日もぱらぱらとめくっていた。
ある部分に目が留まり、よくいう、引き寄せの法則というのは、真実だなとしみじみ思ってみた。
いま、現実が好ましくないとする。 穏やかな平和な気持ちになれないとする。 そんな時は、騒音に惑わされない
ひとりの静かな空間に身を置き、過去に幸せを感じた出来事を思い出すといいらしい。 その時の情景をハッキリと
思い浮かべ、その時のフィーリングを蘇らせるいう時間を持つことは役に立つことらしい。 その時の温度とか着て
いた服をも思い出し、肌で感じる。 そうやって体験しなおすという作業。 そのこころの状態を日常の中で意識的
に持つようにするといい。 というようなことが書いてある。 きっとそのこころの状態の周波数が同じ波を引き寄
せるのだろうなぁと思ってみた。 ASKAさんは記憶力が抜群のようだから、いつも無意識にこの作業をやっていた
のかもしれない。 そんなことを想ってみた。 笑う門には福来るというのも本当だなぁ。 おやすみです。 -
ニックネーム:つっしー神さまからのお告げです(^-^)