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第115回「ASKA Terminal Melody」

今週は、みなさんとはきっと違う聴き方をした。

4曲とも僕の転機になった曲。

1) SAY YES
2) 恋人はワイン色
3) 僕はこの瞳で嘘をつく
4) Hello

「SAY YES」は、フジテレビのドラマ「101回目のプロポーズ」のテーマ曲として大ヒットした曲。
当時このフジのドラマの時間帯は「月9(げつく)」と言われ、「C&A」の前は「小田和正」さんが、ドラマ「東京ラブトリー」の主題歌として「ラブ・ストーリーは突然に」を書いた。

ドラマ主題歌ミリオンヒットのキッカケを作ったのが小田さん。
とにかくどこに行っても流れてた。
「C&A」の会社にふらり立ち寄った時、社内で流していた「ラブ・ストーリーは突然に」を、僕の顔を見た女性社員が慌てて止めた(笑)

「おいおい、なに気を使ってんだよ」

と、声をかけたのを覚えてます。
まぁ、そのくらいどこに行っても流れてた。

音楽業界内では「次のドラマの主題歌はどのアーティストが担当するんだろ?」と、もっぱら噂になってる時、僕たち「C&A」に依頼が来た。
この依頼から発表まで「秘密保持契約」のようなものがあり、一切誰にも漏らさず、発表を迎えました。
会社社員たちも誰も知らなかった。

直前のソロシングル曲「はじまりはいつも雨」がミリオンを達成していたこともあって、「C&A」にとっては、この「SAY YES」の発表は「一夜にして城ができた」というくらい活動において完全な変わり目となりました。
先日、音楽プロデューサーの「武部聡」さんから「はじまりはいつも雨」のBメロを「日本の音楽において〜」との称賛をいただいたけど、僕は「SAY YES」のBメロに徹底的な仕掛けを行った。
1拍ごとにコードチェンジをし、更に転調を入れ、サビ直前で元に戻る。
今、振り返っても、よくあんなことができたなと自分でも感心しているのです。

C&Aにとって、大きな転機となった「SAY YES」でした。

2曲目は「恋人はワイン色」
この曲は、故「井上大輔」さんのプロの作曲法というものをマジマジと見せつけられ、
「『C&A』はオシャレな楽曲を歌うグループというイメージを目指さなくてはならない」という気持ちで、書きました。
脱皮だったですね。

3曲目は「僕はこの瞳で嘘をつく」
「SAY YES」の大ヒットにより、業界では「C&Aの次の新曲はどこまで売れるんだろう?」と話題になっていた。
そんな話題になるようなことを背負って、新曲を発表したくなかった。
話題を逆手にとってアルバムからシングルカットしたのが、この「僕はこの瞳で嘘をつく」でした。
記録、記録のプレッシャーから解放されたかった。
しかし、シングルカットでありながらミリオン直前?ミリオン?そのくらいセールを上げることができ、業界ではシングルカットへの見方が変わった。

いえいえ「作戦的自主離脱」を図っただけです。

4曲目は「Hello」
それまでの、僕のソロアルバムはバラードが中心のアルバムだったけれど、ASKAソロを企画ものにしてはならないと、縛られることのないアルバム制作に方向転換した。

そのアルバム「NEVER END」の1曲目として制作に入ったのが「Hello」でした。

今日の「ASKA Terminal Melody」は、どの曲も僕にとって転換を意識した曲ばかりがリクエストされました。

リクエストをしてくれたリスナーのみなさん、ありがとうございました。

本日の放送で改めて感じています。
物事に取り組むには、長期的な「戦略」と、そこに繋げる「戦術」の必要性を。
楽曲ひとつとってもそうですからね。

「仕掛けの重要性」

これをいかに自然に聴かせるか。
6月から、また楽曲制作に向かいます。


ASKA(2023/4/9 11:40)