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第55回「Terminal Melody」~ゲスト「佐藤準」さん

本日の放送後、すぐにかなりのところまで書いていたのですが、
キーボードが一切入力できなくなり、コピーペーストも、他のアプリケーションも反応せずです。

これは、バグではなく完全に壊れたな・・・。
再起動しても、パスワードが入力できません。
書いていた文章が保存できていませんでしたから、もう一度初めから。


先週、今週の2週に渡り、
作:編曲家の「佐藤準」さんが、ゲスト出演してくれました。

あはは、
準さん、覚えてたんだ?(笑)

そう、

「抱き合いし恋人」

の、Bメロ「きっと 幸せは〜」から、リズムを入れるか入れないかで分かれたんです。

「入れるか、入れかないか」

と、いうより、

「スネアで強くビートを刻むか、
ブラシで柔らかく撫でるように鳴らすか」

でした。

確かに、描く作品への思入れというものがありますから、
そこは、作曲家も編曲家も同じです。

あの特の準さんの言葉、覚えていますよ。

準「ASKA、ここからはシーンを変えようよ」
A「いきなり過ぎない?」
準「ここからは、しっかりビートを刻んでさ。その方がASKAの声が生きるよ。その方がASKAの声がより色っぽくなるから。それがASKAだよ」
A「う〜ん・・・そうかなぁ」
準「そうだよ。オレ、ASKAの聴かせ方わかってるから」

な、感じでしたよね?準さん。

と、言って、大きく意見が分かれたわけじゃないです。
だって、相手は、この言葉を使うと安っぽくなってしまいますが、
「天才:佐藤準」ですから。

僕らの世代には「佐藤準」という存在は、遥か高いところに位置するミュージシャンですからね。

準さんが、そう言うならやってみよう。

で、レコーディングは進みました。

2005年だったか。
アルバム、

「SCENE III」

の、ラスト曲でしたね。

C&Aの「TREE 」の「tomorrow」も、佐藤準さんです。
あのアルバム、予約の段階で150万枚を超えていました。
そして、アルバム完成直前に、どうしてもアルバムとしての「円」が欠けてる気がした。

ポップなバラード曲を入れなくては円が完成しないと感じたからです。

その「円」を埋める曲を追加するために、発売を延期してもらいました。
当時はCDが売れに売れていた時代。
そして、世間が「SAY YES」のヒットにより、一気に「C&A」に注目してくれてのアルバム。

「何か足りない」

は、言わせたくなかった。
「完璧」などというものはありませんが、それでも限りなく「完璧」を狙いました。

直前で延期となってからのしわ寄せは、レコード会社に行きました。
もう、発売に向けて、CDショップのポップアップコーナーを確保していましたからね。
延期となると、予め押さえていた期間が「無」となってしまう。

何より、デザイナーの西本さんを初め、CDジャケットを担当するディレクターは、大変だったでしょう。
1曲追加となると、中ジャケ(歌詞カード)のスペースが変わるわけですから。

そして、CD販売スタッフも同様です。

延期したアルバムが完成しても、そのリリース日には他のアーティストが、そこを押さえているわけですから、
CDショップに於いての大展開ができなくなってしまう。

売り上げにも大きく影響してしまうわけです。

延期を決断してくれたレコード会社、
そして、それを受け入れてくれたリスナーのみなさんに向けては、
追加曲としての絶対的な使命が備わった。

100人が100人とも高評価してくれる曲。

追加製作が決まった夜から、「曲」を1日で書き上げました。
レコーディングに費やす時間は歌入れを含めて1週間。

「良いものを作るなら忙しい人に頼め」

これ、ものづくりの鉄則です。
忙しい人ほど、それに向ける集中力と、センスで良いものを作り上げる。

澤近、十川は、他の曲の完成間際。

その二人に「良いものを作るなら忙しい人に頼め」は、過労死させてしまう(笑)

佐藤準さんにお願いしてみました。
準さんも、スケジュールが詰まりに詰まっていましたが、

「3日で完成させてみせるよ」

と。

1日が編曲の書き日。
そして、2日のスタジオ収録で完成。

僕は、曲を書き上げた後、やはり1日で歌詞を完成。

そして、歌入れに2日間。
100人を100人喜ばせるためには、リードボーカルを交互に歌うこと。

そうして「tomorrow」が完成しました。

発売をお待たせしてしまったリスナーの皆さんには、
ポストカードのようなモノに、お手紙のような文章を書いたなぁ。

あの時のお手紙、持ってくれているだろうか。
僕は、何を書いたのか忘れました(笑)

準さんとは、そんなエピソードがありました。

そんな準さんとですが、まさか「抱き合いし恋人」で、
ドラムのことを覚えていたとは思いませんでした。

ちょっと、驚いた(笑)

準さんは、

「改めて聞き返すと、ASKAの言っていたこともわかる。悪いことをした」

と、仰ってましたが、僕は、僕で、

「ああ、やっぱり佐藤準だったんだなぁ」

と、思っています。

あの曲、2番で終わりなんです。
通常の間奏から、もう一度最後にサビを歌うという構成にはなっていません。

僕が、主張した「2番からリズムが入る」では、リズムは2番だけで終わってしまう。
出てきたと思ったら、曲が終わってしまう。

「1番のBメロから、しっかりリズムを刻む」

準さん、正解だった。

先週、今週の2週に渡るゲスト出演、
ありがとうございました。


ASKA(2022/2/20 27:25)

P.S.

「光GENJI」が、賞を取った時、僕が準さんのご実家に電話した時のことも覚えてくれてたんですね。

なら、訂正をひとつ🙋‍♂️

「STAR LIGHT」で、電話したのではなく、
新人賞をすっ飛ばして、いきなり「レコード大賞」を取った、

「パラダイス銀河」

で、電話したのでした( ̄▽ ̄)ニヤリ

今でもそうです。
年末は、ほとんどと言っていいくらい福岡の実家で過ごしています。

「新人賞は間違いないだろう」

と、思って観ていたら、いきなり「レコード大賞」でしたからね。
日本の音楽史において、そんなことをやってのけたのは「光GENJI」だけですからね。

真夜中、準さんに連絡を取るのが大変だった(笑)
はい、準さんに電話をした時のことは、よーく覚えています。

まだまだ、僕は曲を書いていきます。
また、ご一緒してください。

P.S.(2)

「抱き合いし恋人」

ミックスダウンの時、スネアのレベルを下げました・・・。
約、20年ぶりの告白。