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TOKYO FM「Terminal Melody」19回目放送〜(2)ゲスト「スカート:澤部君」

「Terminal Melody」

今月のゲスト回、2週目が終わりましたね。
澤部君、すごいな。

「草原にソファを置いて」

そう、Aメロ2回目に「Beatles」の「Something」のドラムのフレーズが入ってるんです。
よく気がついたなぁ。
ドラマーが「ポール・マッカートニー」のドラマーでしたから、
何気に遊びで入れたんですね。

本当は、まだドラムが入る場所ではなかったんです。
ドラマーが、つい何かしたくなったんでしょうね。
そのフィーリングを決してなくしてはならない。

フィーリングです。
音楽をやる上で、もっとも大切にしなくてはならないこと。
アシスタントに「絶対に消さないように」と告げ、わざわざ、そのフレーズを別トラックに移し替えました。
同じようなことはできるでしょうが、その瞬間のフィーリングによるものは、二度と出ない。
そんなもんなんです。

ボーカルもそう。
特にフェイクなどは、生まれた時がいちばん緊張感があっていい。
残すべきモノは、絶対に残しておかなくてはならないんです。

この
「草原にソファを置いて」は、アルバム「ONE」の楽曲制作上、最後の曲でした。
この後、3曲の追加になるんですが、この時点では最後の曲でした。

アルバムの最後となる、とっておきのバラードを作ってみました。
しかし、出来上がってみると、全体像がテンポも相まってゆったりし過ぎに感じたんです。
そこで、そう澤部君、ドンピシャです。

「君も負けるな」なんて決まりの言葉は
時に嵐でひとりぼっちにさせた


このBメロだけに、ドカンとリズムをつけてみました。

4分音符で進む、この楽曲の構成。
そこに、ここ(Bメロ)だけを8分刻みにし、ここのメロディだけを分厚いハーモニーで囲む。

そして、またサビでを4分音符に戻すことで、
サビに思い切り開放感が生まれる。

そのようにしてみました。

澤部君が語っていた、
最後のサビの繰り返しに変化があると感じてくれたところも狙いです。

ラララ・ラララ・今は


カウンターメロディにも聴こえる
それでいて、主旋律にも聴こえる。

昨年かな、一昨年だったかな。

草原にポツリとソファを置いたCMがありました。
僕は、この曲をモチーフにして制作したCMだったと思っています。
勝手に思うのは構わないでしょう?

僕に見えていた世界と全く同じでした。

この楽曲、実は意外に時間がかかったんです。
あまりに時間がかかりましたので、
プロデューサーの「ポール・オダフィ」が、心配して自宅まで来てくれたんですよね。

あ、この曲はロンドンで作りました。

ポールが訪れる直前に、Bメロでのアイデアを思いつきました。
なので、ポールが家に来てくれた時には完成していた。

その場で歌って聴かせました。

Bメロになった瞬間に、ポールの顔が変わりました。

「OK!! Go!Go!! Don't stop it! Keep on!! ​What a nice!! This is a best tune!!」
(いいよ!そのまま歌って!!最高じゃないか!このアルバムで一番いい!!)

ポールは、イギリスでも本当に有名なプロデューサーですからね。
そのポールのエキサイティングなノリに、僕の温度も上昇しました。

アレンジは、ほぼ、その時に完成していました。
しかし、ポール。
その後、細かな部分(作業)に時間をかけてました。

この時のボーカルレコーディングのディレクターには、
ギターの「近藤敬三」を指名して、一緒にロンドンまで来てもらいました。

「近藤敬三」、通称近(コン)ちゃん、23日の「オンラインライブ」に駆けつけてくれますね。
20年ぶりくらいに一緒にステージに立つことになります。
楽しみです。

当時の僕は、心の中にいくつもの部屋があると思っていました。
今は、アクセス先が心であるという考えに変わっています。

その心の中のある部屋を開けたところはどんな場所だろ?
それが書き始めでした。

自分の心の中。
心の中・・・。

不意に開けた扉の向こうが草原だったらおもしろい。
どんな草原?
大きな風が吹く草原。
でも、決して激しい風ではなく、その風に吹かれてる僕は開放感に満ちあふれてる。

そんな景色に何が見えたらおもしろい?
ギターでは有り触れてる。

くつろぎ・・・。

そうなると、僕にはソファですよね。
ソファ大好き人間ですから。

「草原」と「ソファ」

すごく絵になる組み合わせだと感じました。

草原は「空色」
そんな空色の草原にたどりつく前には、苦悩がなくてはならない。

君も負けるな頑張れなんて決まりの言葉は
時に嵐でひとりぼっちにさせた


そこから「空色の草原」を歌うことで、言葉の威力は2倍、3倍増しになる気がしました。

この歌で、とっても気に入ってる部分があります。

いつまでも僕は ロマンチック馬鹿でいよう


「浪漫」と「ロマンチック」

は、似ていますが、少し違う。

浪漫には「哀愁」がある。
ロマンチックは「甘味」がある。

「ロマンチック馬鹿」も、いろんなところで、いろんな方たちが口にしてくれていました。

僕が、この曲でいちばん気に入ってるメロディ。

僕はときどき 寂しくなったけど


「寂しくなったけど」

の、「けど」
ここは、よく出てきたなと思っています。
仮歌の時には、このメロディではありませんでした。

本番の歌入れの時、突然、そのメロディに行きたくなった。
これがフィーリングなのでしょう。

このアルバムができてすぐ、ニューヨークで、

「夜のヒットスタジオ」

が、ありました。

僕はロンドンからニューヨークへ。
その時、フジテレビのお昼の看板番組

「TIME3」

の、司会をされていた「須田アナウンサー」がニューヨーク支局に転勤になっていまして、
スタジオまで会いに来てくれたんです。

大病を克服された「笠井君」と「須田」さんは、C&Aファンには大人気でした。

そのニューヨークで、
できたてホヤホヤの、

「草原にソファを置いて」

を、歌ったのが記憶に鮮明です。

「Terminal Melody」から流れる「草原にソファを置いて」

そんなことも想い出しながら聴いていました。

スカートの「澤部君」、2週に渡るゲスト出演、
ありがとうございました。

2曲とも、思わぬ選曲でした。
「吉田豪」繋がりでした。

いつか、お会いいたしましょう。
音楽で遊びましょう。

もう一度。
ありがとうございました。


ASKA(2021/6/14 6:12)