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ただ、ギターを持って、ガムシャラに歌っていたC&Aでした。

歌に全力を込めて歌うことが全てだと思っていました。
もちろん「全力」は、今も変わりません。

ここには。
C&Aのデビュー当時のステージからご覧になってくれていた方もいらっしゃるでしょう。
あるツアーから僕たちのパフォーマンスがガラリと様変わりしましたよね？
キッカケがあったんです。

僕に、

「エンターテイメントとは？」

を、見せつけたシンガーがいました。
そのシンガーのステージを見せられた時、
僕は、無抵抗のまま、つま先で谷底に落とされた思いになりました。

「マイケル・ジャクソン」

でした。

と、同時に

これだ・・・。

と、思ったんですね。

エンターテイメントは現実世界であってはならないのです。
お客さんの目の前で、異次元空間をつくることだと気づかされたのです。

当時、アナログレコードからCDへの切り替わりでした。
僕は、元々、稚拙ながらも「演出好き」で、
デビュー3年目の、

「御意見無用ツアー」

では、映画で始まり映画で終わるという、ステージを行いました。
当時、フィルムは高額だった（今もです）。

とてもデビューしたばかりの若ぞう二人組が、
フィルム、映画製作チームを起用し、制作できるお金はなかった。

しかし、どうしても映画始まりを実現させたい。

そこで出てきたのが、
日本国内の映画制作で、使わなかった、つまり余ったフィルムを売っていただく、
または、無料でいただくという無謀な手段を使いました。

「若ぞう」であったからこそできたことです。
映画制作陣は、微笑ましく感じてくれていたことでしょう。

そして、大量に集まった細切れのフィルムをつなぎ合わせ、
やっと20分くらいが撮影できる長さににし、
あの「御意見無用ツアー」のオープニング〜エンディング映画となったわけです。

あのツアーは、業界でものすごい話題になりましたね。
あのツアーからですね。

「C&Aのチケットは取れない」

と、言われるようになったのは。

ね？
「歴史あり」でしょう？

それでも、あれはツアーとしての作品でした。
エンターテイメントとは、ほど遠かった。

当時は、世の中が作品を買ってくれていましたし、
「ライブこそがアーティストプロモーション」と考え、
例え、全国ツアーをソールドアウトで行っていたとしても、
ステージ制作にお金をかけましたから、ツアーによる収支は、トントン、もしくは、やや黒字程度でした。

その代わり作品が売れましたから、
ツアーというものは、それでよかったんです。

そんな僕の前に、マイケル・ジャクソンが現れましたからね。
もちろん、マイケルは、世界が市場でしたから、ツアーの収支がトントンでも、
ステージ制作費にかけるお金の桁が違う・・・。

あの時、マイケルのステージを観ていなかったら、
「エンターテイメント」が放つ、「異次元世界」には気がつかなかったでしょうね。
１列目だったんです。

マイケルのライブ当日、突然友人に誘われ行ったら１列目だった。
息づかい、表情、タイムラグのない歌、間の取り方・・・。
もう、本当に谷底に落とされましたね。

Michael Jackson Super Bowl 1993 Performance HD

その後のステージは、どんどんそこに向かって行きました。

作品も売れる。
売れれば、ステージ制作にもっともっとお金がかけられるようになった。

1990年〜

C&Aは、ワールドツアーを行う「外タレ」のようなステージ制作を行っていました。

今では時代が変わり、
楽曲リリースしても、それほど利益が出なくなりましたので、
多くのアーティストは、ライブで利益を上げなくてはならなくなりました。

これも時代の流れと受け止め、そこを泳がなくてはなりません。
泳げる人だけは沈まないのですから、泳ぎをしっかり身につけなくてはね。

しかし、泳ごうとも、
今は、その河が、海が「新型コロナ」で泳げなくなってる・・・。

それでも、アーティストはまだいい。
作品を出せば、ある程度食いつないでいくことができますからね。

今、大変な思いをしているのは、
サポートミュージシャン、そしてツアースタッフなんです。

少しでも「新型コロナ」が収まり、
また、「待たせたね－！」で、全国ツアーを取り戻したいですね。

と、書き終わったところで速報が。
「新型コロナ」による重症者の人数が過去最高60人超え・・・。

本日、軽症で何も疾患を持たない患者さんが、
突然、重症化し心肺停止したと・・・。

変だよね。
これまでのウイルスとは、もう違ってきてると思います。
もし、そうだとすれば、恐ろしいほどのスピードで変異してる。

やがて、抗体力を持った「新種」と呼ばれるウイルスになっていくのではないかと感じています。
なんとか、この人類史に残る「今」を越え合いましょうね。


ASKA(2020/12/12 15:35)