TOPに戻る

「筒美京平」さんがお亡くなりになられました。
あまりにも偉大な作曲家・・・。

あれは、91年だったかな・・・。
ちょうど、2回目のロンドン行きの前だったと思います。

89年と92年の2回、
僕は、半年間「ロンドン」で生活しました。
合計1年ですね。

六本木で友人たちと食事をしていたんです。
ふと、声をかけられました。

テーブルを囲んでいた僕たち。

僕の右側に現れたひとりの「見るからに紳士」が、
僕に向けてこう仰ったんです。

「君だね？僕の職場を荒らしているのは」

その柔らかな言葉のトーンから、その言葉がジョークであることはすぐに判りましたが、
僕には、面識がない・・・。

僕は、一度お会いした方は、まず覚えています。
きっと僕は、笑顔半分の不思議顔で、その紳士を見上げていたことでしょう。

その時でした。
一緒に食事をしていた「東山紀之」が、

「あっ！？筒美さん！！ASKAさん、筒美京平さんです！！」

まったくもって、僕には緊張する間も与えられない、不意の出来事となりました。

僕は、即座に椅子から立ち上がり、

「初めまして!ASKAです！！僕は、筒美さんのメロディで育ちました。お会いできて光栄です！！」

もう、しっかり45度ですよ。
深々とお辞儀をさせていただきました。

その後、ラジオ、取材などでも、筒美さんのお名前は幾度となく口にさせていただいてきましたが、
結局、あの日が最初で最後となってしまいました。

つい先日も、「トムセン陽子」の番組で、

「いつかご一緒（コラボ）させていただきたい憧れの作曲家」

と、いうようなお話をしたばかりでした。

もう、すでにいろんな記事で「筒美京平」さんの訃報が流れているでしょう。
僕は、先ほど知ったばかりで、まだ一つの記事も読んでいません。

僕には、筒美さんの「代表曲」と言える曲が思いつきません。
それほど多くのヒット曲を書かれた方です。

「筒美京平メロディ」

これは、多くのミュージシャンの「共通語」です。

「君だね？僕の職場を荒らしているのは」
「君、音楽の流れを変えたね」

筒美さんから頂いた、この言葉は、その後の僕の音楽人生の励みになっています。

「筒美京平」という名を知らない世代でも、
筒美さんの残した楽曲たちは、浸透しています。

まだ僕が洋楽に疎かった頃、
「ジョン・レノン」の死が世界を震撼させました。

もちろん、僕にもそれがどれほどのことなのかは感じていましたが、
今、書きましたように、洋楽に疎かった僕には、身体中の力が抜けてしまうほどの虚無感はなかった。
音楽において、あまりにも未熟だったからです。

「ジョン・レノン」の死により、
世界中のミュージシャン、そしてジョンの音楽を愛した人たちが抱えた「虚無感」を、
僕は、今日「筒美京平」という偉大な作曲家が、この世を離れたことによって感じています。

最大の敬意で「筒美京平」さんを見送らせてください。
数々の、素晴らしいメロディをありがとうございました。


ASKA(2020/10/13 0:04)